
製造業の仕事をしていると、
「この在庫はもう引き当て済みです」
「受注に在庫を引き当てる」
「引き当てできる在庫がありません」
といった言葉を耳にすることがあります。
製造業に入ったばかりの人は、
「引き当てって何?」
と思うかもしれません。
この記事では、製造業や在庫管理でよく使われる「引き当て」について、初心者にも分かるように解説します。
引き当てとは、簡単に言うと、
在庫を、特定の注文や生産などのために確保すること
です。
例えば、倉庫に製品Aが100個あるとします。
製品Aの在庫:100個
そこに、お客様から80個の注文が入りました。
この注文に対して、在庫100個のうち80個を確保します。
現在庫:100個
注文A向け:80個を確保
残り:20個
この「注文Aのために80個を確保する」ことを、在庫の引き当てと呼びます。
引き当てを理解するときは、予約と考えると分かりやすいです。
ホテルをイメージしてみてください。
ホテルに100部屋あったとしても、すでに90部屋が予約されていれば、新しいお客様に100部屋を販売することはできません。
部屋自体はまだ存在しています。
しかし、90部屋はすでに別のお客様のために確保されています。
在庫の引き当ても、これと似ています。
例えば、
現在庫:100個
引当済:80個
の場合、倉庫には実際に100個あります。
しかし、80個はすでに注文のために確保されています。
そのため、新しい注文に使える在庫は20個です。
この「まだ自由に使える在庫」を、引当可能在庫や有効在庫などと呼ぶことがあります。
会社やシステムによって名称は異なります。
製造業に入ったばかりの人が混乱しやすいのが、
「在庫はあるのに、使えない」
という状態です。
例えば、システムを見ると、
現在庫:100個
と表示されています。
そこで、
「100個あるなら、50個出荷できますよね?」
と思うかもしれません。
しかし、実際には、
現在庫:100個
引当済:80個
引当可能:20個
という状態かもしれません。
倉庫には100個あります。
しかし、そのうち80個は別の注文のために確保されています。
そのため、新しい注文に使えるのは20個だけです。
つまり、
物理的に存在する在庫と、自由に使える在庫は同じとは限りません。
引き当てを理解するうえで、非常に重要なポイントです。
引き当てをしないと、同じ在庫を複数の注文に使う予定を立ててしまう可能性があります。
例えば、製品Aの在庫が100個あるとします。
そこに注文Aが入りました。
注文A:80個
さらに注文Bが入りました。
注文B:50個
引き当てを管理していない場合、それぞれの担当者が在庫100個だけを見て、
「80個ある」
「50個もある」
と判断してしまうかもしれません。
しかし、実際に必要な数量は、
80個 + 50個 = 130個
です。
在庫は100個しかありません。
30個足りません。
このように、同じ在庫を複数の注文で使えるものとして考えてしまうことを防ぐために、引き当てを行います。
引き当てと出庫は別の処理です。
引き当ては、
在庫を確保すること
です。
出庫は、
実際に在庫を倉庫などから出すこと
です。
例えば、
現在庫:100個
から80個を引き当てたとします。
この時点では、
現在庫:100個
引当済:80個
引当可能:20個
です。
倉庫にはまだ100個あります。
その後、実際に80個を出庫すると、
現在庫:20個
となります。
つまり、
引き当て
↓
在庫を確保する
出庫
↓
実際にモノを動かす
という違いがあります。
引き当てをしただけでは、実際のモノはまだ動いていません。
引き当てというと、受注に対する在庫の確保をイメージしやすいですが、それだけではありません。
例えば製造業では、
などに対して在庫を引き当てることがあります。
例えば、製品Aを作るために材料Bが100kg必要だとします。
材料Bの在庫が500kgある場合、
材料B現在庫:500kg
製造予定向け引当:100kg
引当可能:400kg
と管理できます。
この場合、材料Bの100kgは、特定の製造予定のために確保されています。
このように、**「何のために在庫を確保しているのか」**を管理するのが引き当てです。
引き当てを行うタイミングは、会社やシステムによって異なります。
例えば、
などがあります。
システムが自動的に引き当てる場合もあれば、担当者が手動で引き当てる場合もあります。
例えば、受注を登録すると、
受注登録
↓
在庫確認
↓
在庫があれば自動引当
という処理を行うシステムもあります。
一方で、担当者が在庫状況や納期を確認してから、どの注文に在庫を使うのか決める会社もあります。
そのため、実際の業務では、
「いつ引き当てるのか」
「自動なのか、手動なのか」
を確認することが重要です。
例えば、
現在庫:100個
注文数量:150個
という状態を考えてみます。
在庫が50個足りません。
この場合の処理も、会社やシステムによって異なります。
100個だけ引き当てる場合があります。
注文数量:150個
引当済:100個
未引当:50個
これを一部引当と呼ぶことがあります。
一方で、150個すべて用意できるまで引き当てを行わない場合もあります。
注文数量:150個
引当済:0個
どちらが正しいというものではありません。
会社の出荷ルールや生産方法によって異なります。
在庫管理では、単純な現在庫だけを見ると判断を間違えることがあります。
例えば、
現在庫:1,000個
だけを見ると、在庫が十分にあるように見えます。
しかし、
現在庫:1,000個
引当済:950個
引当可能:50個
であれば、新しい注文に使える在庫はほとんどありません。
そのため、在庫を見るときは、
「何個あるか」
だけではなく、
「そのうち何個がすでに使い道の決まった在庫なのか」
を見ることが重要です。
引き当ては、この「在庫の使い道」を管理する仕組みとも言えます。
製造業における引き当てとは、
在庫を、特定の注文や生産などのために確保すること
です。
例えば、
現在庫:100個
引当済:80個
引当可能:20個
の場合、倉庫には100個あります。
しかし、80個はすでに別の注文などのために確保されています。
新しく自由に使えるのは20個です。
そのため、
現在庫 = 実際に存在する在庫
引当済在庫 = すでに使い道が決まっている在庫
引当可能在庫 = まだ自由に使える在庫
と考えると分かりやすいでしょう。
引き当てを一言で表すなら、**「在庫の予約」**です。
製造業に入ったばかりで「引き当て」という言葉が出てきたら、
「何のために、どの在庫を予約しているのか?」
と考えてみてください。
そうすると、引き当ての意味が理解しやすくなります。
この記事をシェア
coiaiの基幹システム
coiaiは物流・生産の現場に合わせた基幹システムを開発しています。 在庫・受発注・生産管理をひとつにまとめ、現場の運用に寄り添う形で導入まで伴走します。