
製造業や販売管理の仕事をしていると、
「これは客注です」
「客注品なので注意してください」
「客注分を先に確保しておいて」
といった言葉を耳にすることがあります。
製造業に入ったばかりの人は、
「客注って何?」
と思うかもしれません。
この記事では、製造業や販売管理で使われる「客注(きゃくちゅう)」について、初心者にも分かるように解説します。
客注とは、簡単に言うと、
特定のお客様からの注文にひもづけて、商品や材料を手配すること
です。
例えば、普段は在庫していない製品Aを、お客様から100個注文されたとします。
A社から注文:製品A 100個
しかし、自社には製品Aの在庫がありません。
そこで、A社からの注文をもとに製品Aを100個仕入れたり、製造したりします。
A社から100個の注文
↓
製品Aを100個手配
↓
A社へ100個出荷
このように、特定のお客様の注文をきっかけに商品を手配することを客注と呼びます。
一言で表すなら、
「お客様の注文のための手配」
と考えると分かりやすいでしょう。
客注を理解するには、通常の在庫との違いを考えると分かりやすいです。
例えば、製品Aを今後売れると予想して100個仕入れたとします。
製品Aを100個仕入れる
↓
倉庫に保管する
↓
注文が入ったら出荷する
この時点では、誰に販売するかは決まっていません。
A社が注文するかもしれません。
B社が注文するかもしれません。
このような在庫は、複数のお客様の注文に使える通常の在庫です。
一方、客注の場合は違います。
A社から注文
↓
A社向けに100個手配
最初からA社の注文のために手配しています。
つまり、
通常在庫 = 誰に使うかまだ決まっていないもの
客注 = 特定のお客様の注文にひもづいているもの
という違いがあります。
客注品の大きな特徴は、入荷する前から行き先が決まっていることです。
例えば、A社から特殊な部品を50個注文されたとします。
その注文を受けて、仕入先へ50個発注しました。
A社の注文:50個
↓
仕入先へ50個発注
↓
50個入荷
↓
A社へ出荷
この50個は、A社の注文があったから発注したものです。
そのため、入荷したからといって、自由にB社の注文へ使うと問題になる可能性があります。
倉庫に実物は存在しています。
しかし、すでに使い道が決まっています。
この意味では、以前の記事で解説した「引き当て」にも近い考え方です。
客注品は、
「このお客様のための商品」
という情報を持っています。
客注と引き当ては似ていますが、同じ意味ではありません。
引き当ては、
存在する在庫などを、特定の注文のために確保すること
です。
例えば、
現在庫:100個
↓
A社の注文に80個を引き当て
という処理です。
一方、客注は、
お客様の注文をもとに商品を手配すること
です。
A社から100個の注文
↓
在庫がない
↓
A社向けに100個発注
つまり、
引き当て = ある在庫を予約する
客注 = お客様の注文をもとに手配する
と考えると分かりやすいでしょう。
実際の業務では、客注で手配した商品を、そのお客様の受注に引き当てることもあります。
客注は、発注残とも関係があります。
例えば、A社から製品Aを100個注文されたとします。
在庫がないため、仕入先へ100個発注しました。
A社の注文:100個
仕入先への発注:100個
発注残:100個
まだ商品は入荷していません。
そのため、発注残は100個です。
その後、60個が入荷しました。
入荷済:60個
発注残:40個
この60個は、A社の注文のために手配した客注品です。
つまり、
客注は「誰のための手配なのか」
発注残は「あと何個入荷していないのか」
を表しています。
同じ商品についての情報でも、見ているものが違います。
客注を管理しないと、入荷した商品を別のお客様へ出荷してしまう可能性があります。
例えば、
A社向け客注:100個
の商品が入荷したとします。
しかし、システム上で通常在庫と区別されていなければ、
現在庫:100個
とだけ表示されるかもしれません。
その後、B社から100個の注文が入りました。
担当者が、
「在庫が100個あるから出荷できる」
と判断してB社へ出荷してしまいます。
すると、A社のために手配した商品がなくなってしまいます。
A社への納品ができません。
このような問題を防ぐために、
「この商品は、どの注文のために手配したものなのか」
を管理します。
客注品が入荷すれば、物理的には会社に存在しています。
その意味では在庫です。
しかし、通常の在庫とは性質が異なります。
例えば、
製品A
現在庫:150個
という状態でも、内訳を見ると、
通常在庫:50個
A社向け客注:100個
かもしれません。
倉庫には150個あります。
しかし、新しい注文に自由に使えるのは50個だけです。
そのため、在庫管理では単純な現在庫だけではなく、
「誰のための在庫なのか」
という情報が重要になる場合があります。
客注の管理方法は、会社やシステムによって異なります。
例えば、
などをひもづけて管理します。
イメージとしては、
受注:A社 100個
↓
発注:仕入先 100個
という関係です。
システム上では、
「この発注は、どの受注をもとに発生したのか」
を追跡できるようにします。
すると、商品が入荷したときに、
「これはA社向けの商品だ」
と判断できます。
製造する場合であれば、
A社の受注
↓
製造指示
↓
製品完成
↓
A社へ出荷
という形で、受注と製造をひもづけることもあります。
客注とは、
特定のお客様からの注文にひもづけて、商品や材料を手配すること
です。
通常の在庫は、まだ誰に使うか決まっていません。
一方、客注は最初から使い道が決まっています。
通常在庫 = 誰に使うか決まっていないもの
客注 = 特定のお客様の注文のために手配したもの
と考えると分かりやすいでしょう。
客注を一言で表すなら、
「お客様の注文にひもづいた手配」
です。
製造業や販売管理の仕事で「客注」という言葉が出てきたら、
「これは誰の注文のために手配しているものなのか?」
と考えてみてください。
客注の意味が理解しやすくなります。
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